客席の片隅に君を見つけた
アイドルって「偶像」「崇拝される人や物」「あこがれの的」「熱狂的なファンをもつ人」を意味する英語(idol)に由来してるんですって。
Wikipediaで調べた。
まあ、大体どれも合ってるのかなと思う。
アイドルですごく好きな子はいるし、そこそこ長いこと見てきて性格とか癖とか知っている、つもり。
けど、多分きっと彼自身のことは何も知らない。
一人間としてどういう人が好きなのか、誰とどんな会話をするのか、電話の仕方、LINEでよく使うスタンプ、何も知らない。
それでいいんだと思う。だって私が好きなのはアイドルの彼だから。
熱しやすく冷めやすい上に依存体質だから好きなものはコロコロ変わる。3年周期くらいかな。大体。
その中で5年、もうちょい経ってる?わかんないけど変わらずに好きな子がいて。ある意味私はその子のことを崇拝しているのかなぁ、なんて。
傍から見たら私は彼の熱狂的ファン。
ほら、やっぱり彼はそういう意味でもアイドルだ。
大勢のアイドルがいる事務所の中で、どちらかというと存在を知られていない方。どちらかというとでもないか。街中を歩いていても彼がアイドルだって気づく人のほうが確実に少ない。
大きな会場でお仕事をしても彼のことを好きで見に来ているファンは極一部。
好きになった当初から比べたら増えたけれども。
真面目に仕事に取り組んでひたすら努力をして、見る度に実力を上げていく彼が好きだ。
夢にも思わなかったような大きなお仕事を掴んで、360度回転する劇場のセンターで一人で歌っているのを見た時少しだけ泣いた。
それまで一人で歌わせてもらう機会なんてなかったんだもの。
あの舞台で素敵な衣装を着て歌って踊る彼は間違いなく王子様で私の神様だった。
彼に救いを求めてるとかそういうわけじゃない。
ただ一方的に勝手に好きでいる。それでいい。
別に彼が、現実の彼が普通のオンナノコと恋をしていても構わない。
自分の団扇を見つけて嬉しそうに手を振ってくれる、そんなアイドルとしての彼の姿を見ている。それだけでいい。
星屑のスパンコールという曲が好きです。
よくあるアイドルが一般人のファンの子と恋に落ちた的な歌。
夢見たっていいじゃない。偶像なんだもの。
でもそれは歌だから好きなのであって、実際にそんなことあったらとても嫌だ。
偶像だからこそ、現実は見せないで欲しい。
彼が恋をしていても構わないとは言ったけど、それを公表したら私はきっと荒れ狂うし、許さない。
私は、私の中の偶像の彼が大好きで、それを裏切ったり壊すのは例え彼本人であっても許せない。
アイドルとしての彼はオンナノコの存在を隠して今日も素敵に踊り続けてくれればそれでいい。
だから、これからも客席の片隅に誰か見つけたりしないで。それだけ。